取材フィルムやビデオテープの提出を求められたらどうする?-博多駅テレビフィルム提出命令事件

前回の記事で、取材源の秘匿の判例を読んだが、今回は広い意味での取材源の秘匿―取材を通じて得られた情報(取材メモ、フィルム、ビデオテープなど)の開示を強要されない権利―について考えてみよう。
学説上「広義の取材源秘匿権」と呼ばれている。

この問題については最高裁判所の判断(最高裁昭和44年11月26日大法廷決定)がある。前回の記事で紹介した博多駅テレビフィルム提出命令事件だ。以後この決定の判断枠組みに従って類似の事案が処理されている。

博多駅テレビフィルム提出命令事件

事案の概要

事案は1968〈昭和53〉年にさかのぼる。アメリカの原子力空母エンタープライズの佐世保寄港を阻止する運動に参加するために、1月16日に三派系全学連学生が約300人博多駅で下車をした。ここで、福岡県警察の機動隊員らと衝突が起き、公務執行妨害罪で逮捕される学生が出た。

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