読者のコメントにインターネットニュースサイトは責任を負うのか?-Delfi v. Estoniaを読む

インターネットニュースサイトの中に、ニュース記事の下に読者がコメントをする欄を設けているものがありますよね。もし読者がコメント欄に、人の名誉を毀損したり憎しみをあおるコメントを投稿したら、ニュースサイト自身は責任を問われるのでしょうか。
ヨーロッパ人権裁判所(ECtHR:European Court of Human Rights)は、大法廷で2015年6月16日に初判断をしています。少し前の判決ですが、そのDelfi AS v. Estoniaケースの判決内容を紹介したいと思います。英文の判決全文はこちら

FACT:事案の概要

Delfiとは

Delfiとは、Delfi ASが所有し運営するエストニアのインターネットニュースサイトです。2009年当時、1日約330のニュース記事を掲載し、エストニアで最大級のインターネットニュースサイトのひとつでした。エストニアのほか、ラトビアとリトアニアでもニュースサイトを運営しています。

サイトの感じをつかむために、ちょっとDelfiのサイトをのぞいてみましょう。
Delfi

記事の見出しの横に赤色で数字が表示されています。これは読者のコメントの数を示しています。数字が多いほど読者が反応した関心の高いニュースということになるのでしょう。数字の部分をクリックすると、投稿を読むことができます。投稿欄は名前のあるものと匿名のものとに2つに分かれています。 続きを読む →